御稜威みいつ)” の例文
これすなわち、山海共に皇室の御稜威みいつに服し、ここに既に同化融合の実を挙げ給うた事実を、語り伝えたものではあるまいか。
「——おれはもう親父のこともおふくろのことも考えん。大君の国の御稜威みいつをおとさじと家をも身をも捨てにしものを」。
風蕭々 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
武士は、武士大衆の自力を信じ、公卿は公卿で、御稜威みいつに帰した天下であるとし、それはわが世の春だと思っている。
朝廷というものが中央においでになる、その朝廷の御稜威みいつを借りて事をなさなければ、為すべき名分も、手段も立たぬ。よって薩長あたりが躍起となって策動している……
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わが日本は、幸いにして、御稜威みいつのもとに、建国二千六百余年の光輝ある国史をもち、軍人は忠勇無双、銃後国民も亦すこぶるりっぱです。この点ではどこの国にも負けません。
『火星兵団』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
……きっと、陛下の御稜威みいつに謝しまつり、戦死者の霊をとむらっているのだろう。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
おほきみの御稜威みいつかがやくもと狂業たはわざするなおそ漢人からひと (平賀元義)
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
九州、瀬戸内海、大和地方にかけて、既に御稜威みいつの下に、欣んで帰順する者も多かつたが、事理を解せぬ蛮民も多く、途中に於ても、それらに対する警戒平定に、多くの日時を費されたことと思ふ。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
あづまの君の御稜威みいつとぞ思ふ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
御稜威みいつは大いなり。8175
まことに御稜威みいつというものか。はた、あさましい人心というべきか。とにかく、世態一変の観がある。
歴代天皇の御稜威みいつはいやが上にも輝いて、以て今日の隆昌なる国運を成すに至ったのでありますが、またそれと同じ様に私ども日本民族も、この国運の進展に伴って
本州における蝦夷の末路 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
逆はむよしなき御稜威みいつもて
千早の戦いなどを、事大に、言いはやされるなどは、正成にとり、面映おもはゆいことでしかありませぬ。あの善戦をなしえたのは、時の御稜威みいつ、また時の人心が支えたもの。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大将拝賀の式は、十一月、宮中で盛大にり行われた。文武百官式の陣坐をめぐって、朝廷の御稜威みいつと、彼の栄光を祝して、万歳をとなえた。そのさかんな景観は、前代未聞ぜんだいみもんと噂された。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)