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彼此
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をちこち
伊勢の
八相可といふ
郷に、
拝志氏の人、世をはやく
嗣に
譲り、
九忌むこともなく
頭おろして、名を
夢然とあらため、
従来身に病さへなくて、
彼此の旅寝を老のたのしみとする。
急にも飢ゑて
食ほしげなるに、
彼此に
六六𩛰り得ずして狂ひゆくほどに、
忽ち文四が釣を垂るるにあふ。其の
餌はなはだ
香し。心又
六七河
伯の
戒を守りて思ふ。我は
仏の御弟子なり。
湖水の
碧なるを見るより、
四一現なき心に
浴びて遊びなんとて、そこに衣を
脱ぎ
去てて、身を
跳らして深きに
四二飛び入りつも、
彼此に
游ぎめぐるに、
幼より水に
狎れたるにもあらぬが