弛緩ちかん)” の例文
ひどい苦痛の跡の弛緩ちかん、勝算の無い闘いの跡のあきらめが見える。こういう容態が昨今暫らくのあいだ見えずにいたという事に、女は急に気が付いた。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
この最後の時期の所産としては、量的には最も大きく、質的にはかなりの弛緩ちかんを示している作品『ナヂェージダ・ニコラーエヴナ』のほか、一二の民話の試みがある。
ああした所に若い貴女などは置いていいものでないね。明け暮れ見る人といっては坊様だけだから、のぞく者がないかと使う神経が弛緩ちかんしてしまうからね、気の毒だよ
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
勿論もちろん金解禁後きんかいきんご政府せいふ財政計劃ざいせいけいくわくふたゝ放漫はうまんなが國民こくみん緊張きんちやう弛緩ちかん消費節約せうひせつやくゆる輸入超過ゆにふてうくわ増加ぞうかするにいたればめにきん流出りうしゆつ餘儀よぎなくせられ通貨收縮つうくわしうしゆくきたすことあるべきも
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
それは一時も早くどちらにかまってしまう時が来て、堪えがたい緊張感からのがれたいという望みであった。真に勝負なぞはどうでもいい、ただ感情の弛緩ちかん、これが各人の切に欲するところであった。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)