座席ざせき)” の例文
座席ざせきの片隅へ小さくなったまま、すっかりしょげかえって、窓越しに、うしろへ飛び去って行く郊外近い街の屋根々々を、ションボリ見詰めつづけるのだった。
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
英雄えいゆうは、面倒めんだうくさい座席ざせきになどかたづくのでない。自動車じどうしや免許取めんきよとりだから、運転手台うんてんしゆだいへ、ポイとあがると、「いそげ。」——背中せなかを一つ引撲ひつぱたいきほひだから、いや、運転手うんてんしゆばしたこと
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしたちはサロンルームの片隅かたすみに、からうじて座席ざせきめることが出来できた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)