幾丈いくじょう)” の例文
わが越後のごとく年毎に幾丈いくじょうの雪を視ば何の楽き事かあらん。雪のために力を尽し財をついやし千辛万苦する事、下に説く所を視ておもひはかるべし。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
幾丈いくじょうか後すざりして船を廻し、ふけおやまを罵りながら、松林に向って進んだ。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
上と下とて遥かに呼び合っていたが、何を云うにも屏風びょうぶのような峭立きったて懸崖けんがい幾丈いくじょう、下では徒爾いたずら瞰上みあげるばかりで、攀登よじのぼるべき足代あししろも無いには困った。其中そのうちに、上では気がいたらしい。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)