“干枯(ひから)” の例文
絲瓜(へちま)の如く干枯(ひから)びて死んで仕舞つた。——提燈は未だに暗い軒下にぶらぶらしてゐる。余は寒い首を縮めて京都を南から北へ拔ける。
京に着ける夕 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
八百屋(やおや)に干枯(ひから)びて積んであるものを買わず、足まめに近くに百姓家(ひゃくしょうや)があれば自分で買いに行くがいい。かえって安価につくかも知れない。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
坂を登るのでいよいよ汗になった我々は、干枯(ひから)びたオレンジで渇(かつ)を癒(いや)していると、汽車の時間が追っているから早く自動車に乗れと催促される。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それにしても彼(か)の武士が持って来るものは、どれもこれも変なものばかりである。第一に干枯(ひから)びた人間の首、奇怪な動物の頭、それからこのきたない泥鮫の皮……。
半七捕物帳:04 湯屋の二階 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
同時に——ああ子規は死んでしまった。糸瓜(へちま)のごとく干枯(ひから)びて死んでしまった。——提灯はいまだに暗い軒下にぶらぶらしている。余は寒い首を縮(ちぢ)めて京都を南から北へ抜ける。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その時に分捕りして持ち帰ったのが彼(か)の二品で、干枯(ひから)びた人間の首と得体の知れない動物の頭と——それは朝鮮の怪しい巫女(みこ)が、まじないや祈祷の種に使うもので
半七捕物帳:04 湯屋の二階 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そうして死ぬだろう。——自分は火のない囲炉裏の傍(はた)に坐って、夜明まで考えつづけていた。その考えはあとから、あとから、仕切(しき)りなしに出て来たが、いずれも干枯(ひから)びていた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)