帰路かへり)” の例文
旧字:歸路
帰路かへりには、馬町の先生を訪ねて、近日中に厨川柵くりやがはのさくへ一緒に行つて貰ふ約束をした。馬町の先生といへば、説明するまでもない。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
敵方といふのは、年若な準教員——それ、丑松が蓮華寺へ明間あきまを捜しに行つた時、帰路かへり遭遇であつた彼男と、それから文平と、斯う二人の組で、丑松に取つてはあなどり難い相手であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
の晩もネ、香雪軒かうせつけんの御座敷で一所になりましてネ、世の中がツクヅクいやになつたなんて、さんざ愚痴を言ひ合つて別れたんですよ、スルと丸井さん、其の帰路かへりにヤラれたんですもの——けれど
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
その帰路かへりである。静子は小妹いもうと二人を伴れて、宝徳寺路の入口の智恵子の宿を訪ねた。智恵子は、何か気の退ける様子で迎へる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)