帝王ていおう)” の例文
生れて四十年、一たんの土と十五坪の草葺のあばらぬしになり得た彼は、正に帝王ていおうの気もちで、楽々らくらくと足踏み伸ばして寝たのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
なるほど、たくさんなほしかずだ。おおきいのもちいさいのもある。おおきなのは、それほどのとくっている偉大いだい人間にんげんにちがいなかろう。帝王ていおうであるちんは、あのうちのもっともおおきなほしがそれであろう。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
蝦夷松えぞまつ椴松とどまつ、昔此辺の帝王ていおうであったろうと思わるゝ大木たおれて朽ち、朽ちた其木のかばねから実生みしょう若木わかぎ矗々すくすくと伸びて、若木其ものがけい一尺にあまるのがある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)