崕道がけみち)” の例文
崕道がけみちにかかります、なるべく、左の方へ寄っておあるきなさいませ」そう注意しながら——「お師さま」と、性善坊は改まっていった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
綱にて結びて𢌞らぬやうにし片輪のみにて落し下すに石にきしりて火花をいだす凄じさたとへていはんやうもなし又本山もとやま熱川にえがはの間なりし崕道がけみちくえて往來なり難きにより木曾川の河原へり川を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
崕道がけみちがきれると、ややひろい、平地ひらちへ出た。一乗院までには、もう一つの峰をめぐらなければならない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
開きたりソレの瀧ホラ向ふの岩奇絶妙絶と云ふうちには四五たんは馳せ過る馬車の無法むはふとばせ下は藍なす深き淵かたへは削りなせる絶壁やうやくに車輪をのするだけの崕道がけみちを容赦も酙酌しんしやくもなく鞭を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ば加へたり此の時少し篁村息をき河原に立やすらひて四方を眺めくえたる崕道がけみち見上みあぐるに夫婦連めをとづれ旅人たびゝと通りかゝり川へ下りんも危うし崖を越んも安からずとたゝずみ居しがやがて男はくえたる處ろへ足を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)