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岬角
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こうかく
一部は橋の
袂から突出た
巌に
礙げられてこゝに
淵を
湛え、余の水は其まゝ押流して、余が立って居る
岬角を
摩って、また下手対岸の蒼黒い
巌壁にぶつかると
火を背になし、沖の
方を前にして立ち
体をそらせ、両の
拳もて腰をたたきたり。仰ぎ見る大ぞら、晴に晴れて、
黒澄み、
星河霜をつつみて、遠く伊豆の
岬角に垂れたり。
其
蔭に小さな小屋がけして、
杣が三人停車場改築工事の木材を
挽いて居る。橋の
下手には、青石
峨々たる
岬角が、橋の袂から
斜に川の方へ十五六間
突出て居る。