“岩国（いわくに）” の例文
「……いや驚きました。調子に乗って無我夢中でやっていましたが、今日はそもそも何十里ばかり駈けましたろう。まっすぐにのばすと岩国（いわくに）の錦帯橋（きんたいばし）まで行っているかも知れん」
顎十郎捕物帳：19 両国の大鯨 (新字新仮名) ／ 久生十蘭(著)
母は昔ものだけあって宅（うち）にある岩国（いわくに）かどこかでできる麻の蚊帳の方を賞（ほ）めていた。
行人 (新字新仮名) ／ 夏目漱石(著)
曼公が周防国（すおうのくに）岩国（いわくに）に足を留めていた時、池田嵩山（すうざん）というものが治痘の法を受けた。嵩山は吉川（きっかわ）家の医官で、名を正直（せいちょく）という。先祖（せんそ）は蒲冠者（かばのかんじゃ）範頼（のりより）から出て、世々（よよ）出雲（いずも）におり、生田（いくた）氏を称した。
渋江抽斎 (新字新仮名) ／ 森鴎外(著)
村尾老人の故郷は、たしか周防（すおう）の岩国（いわくに）であった。
海上の道 (新字新仮名) ／ 柳田国男(著)