屯営とんえい)” の例文
旧字:屯營
「何者だっ、どこの船かっ」と、一隊の兵にすぐ発見され、すぐ船を出た七名の代表者は、そのまま彼らの屯営とんえい拉致らっちされて行った。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この人は漁夫に変装して日々桂川かつらがわりをれ、幕府方や会津桑名の動静を探っては天龍寺にある長州軍の屯営とんえいに通知する役を勤めた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこにはまた交通巡査のように冷静な猶太ユダヤ人の給仕長があった。通路に屯営とんえいして卓子テーブルくのを狙っている伊太利イタリー人の家族れがあった。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
バードが極飛行から無事に屯営とんえいに帰って来たのを皆が狂喜して迎え、機上から人々の肩の上にかつぎ上げて連れてくる。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
流れをさかのぼって、方角はとらの境あたりに取った。その先にある某地点、この谷川の水が丑寅うしとらの方向に転ずるところ、そこが第二の屯営とんえいであろう。ひそかに大野順平は自分の胸にそう期していた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
井伊直政いいなおまさが、聞きとり、一大事と、すぐ家康の将座たる屯営とんえいの深くまで、二人を引いてきた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)