居廻いまわり)” の例文
作平のよぼけた後姿を見失った五助は、目のくさきも薄暗いが、さて見廻すと居廻いまわりはなおのことで、もう点灯頃ひともしごろ
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
持崩した身は、雨にたたかれたわらのようになって、どこかの溝へ引掛ひっかかり、くさり抜いた、しょびたれで、昼間は見っともなくて長屋居廻いまわりへ顔も出せない。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人形町居廻いまわりから築地辺、居酒屋、煮染屋にしめや出入でいり往復ゆきかえり、風を払ってしましたわ、すると大変。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
居廻いまわりの者は誰うとなく加茂川の横町を、根岸の馬車新道ととなえて、それの狭められるために、豆腐屋油屋など、荷のあるやからは通行をしない位であるが、今日は日曜故か、もう晩方であるためか
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)