居住いずま)” の例文
小六の影を仰ぐと、日吉も、これはこの者どもの頭目かしらだなとさとったらしく、やや居住いずまいを改めて、じっとその顔を正視した。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その二は一樹いちじゅ垂楊図すいようずの上部を限るかすみあいだより糸の如きその枝を吹きなびかす処、だいなる菱形ひしがた井筒いづつを中央にして前髪姿の若衆しま着流きながし羽織塗下駄ぬりげたこしらへにて居住いずま
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
行儀よく居住いずまって、お島の小さい時分から覚えている持古しの火の用心でたばこをふかしていたが、お島や浜屋にしつこく言われて、やっと勝手元近い下座敷の一つへ通った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
何かの拍子に居住いずまいを組み直した瞬間——彼女の全貌を真正面から眺める事が出来ました。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
そら来たと、わたしは思わず居住いずまいを直すと、老人はにやにやと笑い出した。
半七捕物帳:54 唐人飴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二人は夢からめた様に、極まり悪く居住いずまいを直した。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
馬の鞍上に、信長は、居住いずまいを正して、そう云いながら、合掌した。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、居住いずまいもあらためずにいった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)