神代じんだいの巻」に、「大己貴命おおあなむちのみこと少彦名命すくなひこなのみことと力をあわせ、心を一にして鳥獣昆虫の災害をはらわんために、すなわちその禁厭の法を定めたり」
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
祭神は大国魂命おおくにたまのみこと大己貴命おおなむちのみこと少彦名命すくなひこなのみことの三ばしらだ。神殿の前に立つと、私たちは皆濡れしずくの麦稈帽をった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
少彦名命すくなひこなのみこと熊野くまの御碕みさきから、彼方かなたへ御渡りなされたというのもなつかしいが、伊勢を常世とこよなみ敷浪しきなみする国として、御選びになったという古伝などはとくに殊勝しゅしょうだと思う。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
六十一代朱雀すざく天皇天慶てんぎょう七年秩父別当武光同其子七郎武綱云々うんぬんという文見え、また天慶七年武光奏し奉りて勅をこうむり五条天皇(疑わし)少彦名命すくなひこなのみことを蔵王権現の宮に合せまつりて云々と見えたり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
柱には大己貴命おほあなむちのみこと少彦名命すくなひこなのみことたなごゝろへ載せてる像が浮彫になつて居り、それを巻いて温泉を讃美した古代の歌が万葉仮名で彫つてある。往昔そのむかし大己貴命と少彦名命とが此所で久し振りに逢はれたげな。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)