寒稽古かんげいこ)” の例文
木剣の冷たい肌を頬に当てると、幼年のころ、寒稽古かんげいこゆかで、父の無二斎むにさいからうけた烈しい気魄きはくが、血のなかによみがえってくる。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからまた浜町河岸はまちょうがしの大竹という道場へもやはり寒稽古かんげいこなどに通ったものである。中学で習った柔術は何流だったか覚えていない。が、大竹の柔術は確か天真揚心流だった。
追憶 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
寒稽古かんげいこ病める師匠のきびしさよ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
夜業の、寒稽古かんげいこ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
それだけの歳月を、寒稽古かんげいこの、土用試合のと、竹刀でぽかぽかなぐられた上、一ツ橋から小石川の果てまで、往復の足数だけでも、何千里歩いたことになるか、容易な根気で貰った免許皆伝ではない。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
渋引きしごとのど強し寒稽古かんげいこ
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)