密夫まおとこ)” の例文
何事も堪忍致すのは極く身の養生くすり、なれども堪忍の致しがたい事は女房が密夫まおとここしらえまして、亭主をだまおおせて、ほかで逢引する事が知れた時は、腹を立たぬ者は千人に一人もございません。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もともと人間がそういうことをこしらえたのなら、誰だって同一おんなじ人間だもの、何密夫まおとこをしても可い、駈落かけおちをしても可いと、言出した処で、それが通って、世間がみんなそうなれば、かえって貞女だの
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
痛いんだか、かゆいんだか、風説うわさに因るとくすぐったいとね。多分私も擽ったかろうと思う。……ところがあいにく、母親おふくろが操正しく、これでも密夫まおとこじゃないそうで、その擽ったがりようこの上なし。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何の密夫まおとこの七人ぐらい、とっくに出来ないじゃあなかったが……
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)