実盛さねもり)” の例文
露国では、九月一日にかぶら等諸菜で小さいひつぎを製し、蠅などの悪虫を入れ悲歎のていして埋めると。紀州などで稲の害虫ウンカを実盛さねもりと呼ぶ。
彼が得意の「有職鎌倉山ゆうそくかまくらやま」を出し、中幕は団十郎の「白髪染しらがぞめ実盛さねもり」と「船弁慶ふなべんけい」であったが、一番目ではやはり左団次の三浦荒次郎みうらあらじろうがわたしの眼についた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
俣野五郎景久またののごろうかげひさ長井斎藤ながいのさいとう別当実盛さねもり伊藤いとうの九郎助氏すけうじ浮巣うきすの三郎重親、真下ましもの四郎重直しげなおらは、そのまま京へ逃げのぼって、平家の侍となっていたが、戦のない時は、それぞれの家に寄り集まっては
「この手水鉢は、実盛さねもり首洗くびあらいの池も同じだね。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「斎藤実盛さねもりにならって、染めてござるらしい」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
稲虫いなむしの一名稲別当いなべっとう、それを斎藤別当に因んで実盛さねもりというに及んだ由(『用捨箱』下)。この虫盛んな年は大勢松明たいまつ行列して実盛様の御弔いと唱え送り出す。まず擬葬式をして虫を死絶すべき禁厭まじないだ。
実盛さねもりどの、健気けなげのお手のうちを拝見しよう」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実盛さねもりどの、白髪しらがを染めてござったか」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こら、実盛さねもり、卑怯ではないか」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)