定所ていしょ)” の例文
畳一枚のあたいは二十四文であった。庭に定所ていしょ、抽斎父子の遺愛の木たる檉柳ていりゅうがある。神田の火に逢って、幹の二大枝にだいしわかれているその一つが枯れている。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこで下野の宗家を仮親かりおやにして、大田原頼母たのも家来用人ようにん八十石渋江官左衛門かんざえもん次男という名義で引き取った。専之助名は允成ただしげあざな子礼しれい定所ていしょと号し、おる所のしつ容安ようあんといった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
両掛の中にはなお前記の抽斎随筆等十余冊があり、また允成のあらわす所の『定所ていしょ雑録』等約三十冊があった。おもうにこの諸冊は既に屏風びょうぶふすま葛籠つづら等の下貼したばりの料となったであろうか。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)