うば)” の例文
虎ヶ窟はその昔、若き恋に酔えるお杉と重蔵との隠れ家であった。彼女かれは今や白髪しらがうばとなっても、思い出多きこの窟を離れ得ぬのであろう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
六畳敷ほどもある大きな島台をすえつけ、その上に猿若町さるわかまちの役者を翁とうばに扮装させて立たせ、岩木は本物の蓬莱石ほうらいいし
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あやしと見て、六四枕におきたる禅杖ぜんぢやうをもてつよくちければ、大きに叫んでそこにたふる。この音に六五あるじうばなるものあかしを照し来るに見れば、若き女の打ちたふれてぞありける。
めしひうばそくもなく手さぐりつたふ渡殿わたどの
故郷の花 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
うば泣く泣く命をふ。いかがせん。六六捨てて其の家を出でしが、其ののち又六七たよりにつきて其の里を過ぎしに、田中に人多くつどひてものを見る。僧も立ちよりて何なるぞと尋ねしに、里人いふ。
うば
蟹満寺縁起 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)