嫌疑者けんぎしゃ)” の例文
こう嫌疑者けんぎしゃばかりが多くては困ってしまう。僕は誰と相談してよいのか、誰を犯人の中からエリミネートしてよいのか判断に迷った。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ロレ 手前てまへこそは、力量りきりゃういっ不足ふそくながら、ときところ手前てまへ不利ふりでござるゆゑ、このおそろしい殺人ひとごろしだいばん嫌疑者けんぎしゃでござりませう。
彼はならずして無罪を宣告せられたが、逮捕たいほの理由は彼がある嫌疑者けんぎしゃに数千のかねを与えたというにあって、裁判官が
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
通例は天狗・狗賓ぐひんというのが最も有力なる嫌疑者けんぎしゃであったが、それはこのように無造作なる示威運動に脅かされて、取ったをまた返すような気の弱い魔物ともじつは考えられていなかった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「いや、有難う、村山君。君の手帖のお蔭ではからずも犯人、いや有力な嫌疑者けんぎしゃが判明した。感謝する!」
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
嫌疑者けんぎしゃを一室にあつめてトランプ競技をさせ、その勝負の模様によって判定したという話を聞いたことがあるが、青竜王はそれに似たことをやるのではあるまいか。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
車内で射ったとすれば、私も嫌疑者けんぎしゃの一人でしょうが、僕より右手にいた連中も同時にうたがってみるべきでしょう。日本髪の婦人は勿論のこと、失礼ながら倉内車掌君も同類項どうるいこうです
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
残る嫌疑者けんぎしゃは自分であるが、これとても同じことが云える。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「イヤまだ重大な嫌疑者けんぎしゃがあります」と大江山は叫んだ。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)