はは)” の例文
導かれて行くにいまだ一周忌にも到らざれば、冢土ちょうど新にしていまだ碑碣ひけつを建てず。かたわらなるはは某氏の墓前に香華を手向たむけて蓮久寺を出づ。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
僕はははの國になむとおもひて哭くとまをししかば、ここに大御神みましはこの國になとどまりそと詔りたまひて、神逐かむやらひ逐ひ賜ふ。
而も其子孫に言ひ及して居ない処から見れば、一般の万葉人の為には、やはり常闇トコヤミの「ははの国」が、横たはつて居るばかりだつたものであらう。
万葉びとの生活 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
素尊はははの国へ行くと称して、父の神の指命によって根国へ渡って行き、そこに年久しく住んでおられ、大国主神おおくにぬしのかみは後にその国を訪れて、結婚しまた宝物を持ってこられた。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
古代の日本人にとつて、海のかなたに思念されるのはははの国だつたと言はれる。繁夫の場合はちがふ。父はもつと近くに、潮鳴りの中に、潮の香のなかに、ただよひ生きてゐた。
地獄 (新字旧仮名) / 神西清(著)
ただこほし、ははの国
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「何とかもいましは言依させる國をらさずて、哭きいさちる」とのりたまへば、答へ白さく、「ははの國堅洲かたす二三に罷らむとおもふがからに哭く」
ただこほし、ははの國
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
かれ御毛沼の命は、波の穗をみて、常世の國に渡りまし、稻氷の命は、ははの國として、海原に入りましき。
ははせば
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ははせば
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)