好誼こうぎ)” の例文
もし今日までの調査に、見るべき成績があるなら、それは私を助けてこの調査を進めた諸友の好誼こうぎに帰すべきものといわねばなりません。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その上、とがめられたのが好都合になって様々の好誼こうぎをうけ、行手の海の難処なども懇篤に教えさとされ、鄭重ていちょうなる見送りをうけて外洋そとうみへと漕出した。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
げに頼みがたきは人心か。日頃、明智家とは、あれほど好誼こうぎある仲と思われたものすらかくの如しだ
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうだ。年来の好誼こうぎに免じて、一つ案内役を引き受けてくれないか。僕はもう君が行ってくれるものと思って、その旨を初子さんまで手紙で通知してしまったんだが。」
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私はこの好誼こうぎをどれだけ嬉しく感じましたことか。越えて十六日「地蔵菩薩」はこもに包まれて私の手許てもとに届きました。私は冬の旅から帰った後、風邪を引き床に就いていたのです。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「せっかくの、御好誼こうぎには、越前も、越前個人として、ありがたくお受けはしますが、江戸町奉行の職において、上様の御仁恕じんじょも、方々かたがたの思し召も、れることはまかりなりません」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昭和六年三月八日、浜谷由太郎氏の好誼こうぎによって孤篷庵現住小堀月洲師の快諾を得、この茶碗を見ることが出来た。同行者は河井寛次郎。親しく手にとって眺めるに及び誠に感慨無量である。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そういう声援者は皆、彼に勝たせたいと念じている者には疑いないが、十中の八、九まで、巌流の勝ちを信じ、巌流の立身を見込み、彼との将来の好誼こうぎに自分の望みをも幾分か賭けている人々だった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また挿絵に関しその説明に関し、石丸重治、青山二郎、内山省三、浅川巧の諸兄より受けた好誼こうぎを感謝する。製版については田中松太郎氏に、出版については伊藤長蔵氏に少からぬ労を受けた。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)