夷然いぜん)” の例文
監守スル者六、七人。げんトシテ檻舎かんしゃノ如シ。家君ソノ中央ニ坐ス。左右ニ書巻数冊、夷然いぜんトシテ詩ヲ賦スルコト前日ニ異ラズ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼は比較的堅固でない椅子の上に、わざわざ両足を載せて胡坐をかいたなり、はたから見るとさも窮屈そうな姿勢のもとに、夷然いぜんとして落ちついていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
〔評〕十年のえき、私學校の彈藥製造所だんやくせいざうじよかすむ。南洲時に兎を大隈おほすみ山中にふ。之を聞いてにはかいろへて曰ふ、しまつたと。爾後じご肥後日向に轉戰して、神色夷然いぜんたり。