大気焔だいきえん)” の例文
旧字:大氣焔
もっとも幽霊の話でも、どんな重大な問題の議論でも、先生はいつも同じ口調で話されるので、最後は大抵は先生のいわゆる「大気焔だいきえん」になることが多かった。
円覚寺えんがくじの前に汽車の踏切りがあるだろう、あの踏切りうちへ飛び込んでレールの上で座禅をするんだね。それで向うから来る汽車をとめて見せると云う大気焔だいきえんさ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「会ったよ、会ったよ、紅葉に会って来たよ。徳太郎なかなか話せる。すこぶる快男子だ。昨宵ゆうべ徹宵よっぴて話して、二時まで大気焔だいきえんを挙げて来た。紅葉は君、実にえらい。立派な男だ!」
それぞれ五人十人とそこここに割拠して勝手に大気焔だいきえんを吐いていた。
遺言 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
さうしてすゑには天下てんかを…………などゝ大気焔だいきえんも有つたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
庇様かげさまを持ちまして、女の子は撫切なでぎりだと、呵々からからと笑う大気焔だいきえん
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先生、ひとりで大気焔だいきえんを上げている。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自大狂じだいきょう大気焔だいきえんを吐いている。近頃は立町老梅なんて名はつまらないと云うので、みずか天道公平てんどうこうへいと号して、天道の権化ごんげをもって任じている。すさまじいものだよ。まあちょっと行って見たまえ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)