大孔おおあな)” の例文
なぜといって、口蓋に大孔おおあながあくわけだから、そうなると、この豆潜水艇は、二度と水の中へもぐれなくなるわけだ。だから、しかたがない。
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
室の入口のドアの上半分がポッカリ大孔おおあなが明いています。これは枕許まくらもとのスタンドをけて寝るものですから、それで判ったのです。私は吃驚びっくりして跳ね起きました。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
真正面の大きい窓硝子が滅茶滅茶めちゃめちゃこわれて、ポッカリ異様な大孔おおあなが出来、鉄格子てつごうし肋骨ろっこつのように露出していた。その窓の下に寝台があって、その上に寝ているのは重症の赤星龍子だった。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ガチャーンと大きな音がして、硝子には大孔おおあなが明いたが、すかさず手を入れて九万円の金塊をつかむと、飛鳥ひちょうのように其の場から逃げ去った。それから十日目の今日まで犯人は遂に逮捕されない。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
無理に割りこんだ自動車もあったが、たちまち、人波にもまれて、橋の上から、突き落されたり、米軍の爆弾がえぐりとっていった大孔おおあなの底に転がりおとされたりして、車も人も、滅茶滅茶になった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)