大和路やまとじ)” の例文
奈良、大和路やまとじ風景は私にとっては古い馴染なじみである。あたかも私の庭の感じさえする。さてその風情ふぜいの深さも、他に類がない。
京都では父の御機嫌伺いをするだけで、その日のうちに奈良へ行き、二三日間春の大和路やまとじ経廻へめぐりたいと思っていること、ただしこれは自分だけの考なので
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そう思い諦めて、しばらくの間、気を変えるために、私は晩春の大和路やまとじの方に小旅行に出かけていった。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
貴下はその後御門下をこぞって拙者の居所をお尋ねの由であるが、自分は今大和路やまとじにあり、これから約一年を伊賀、伊勢その他を修業に遊歴するつもりで予定をかえる気持にはなれない。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
摂津せっつから大和路やまとじを巡ってくる——そういったまま飄然ひょうぜんと旅に出た良人のことを。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この大和路やまとじまで来たのを幸いに、ついでといっては勿体ないが、紀州の高野山こうやさんか、河内の女人高野という金剛寺か、いずれかへ行って、位牌を預け、かたみ髪を仏塔へ納めなどして置きたいという。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大和路やまとじ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)