夜夜中よるよなか)” の例文
どうも、そうと聞いては安閑とはしていられないんで、夜夜中よるよなかだが、こちらへも知らせて上げようと思って、やって来たんです。
医者も人間ですよ、夜は寝なけあなりません、貴方のやうに夜夜中よるよなかベルを鳴らして、非常識にも程がある、と、かうなんです。
和解 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「いくら芸妓だって、あなた、酔興で夜夜中よるよなか、こんなところに転がっている者があるものですか……云々うんぬん
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
權「他に心得はねえが、夜夜中よるよなか乱暴な奴がへえるとなりませんから、わしゃア寝ずに御殿の周囲まわり内証ないしょうで見廻っていますよ、もし狐でも出れば打殺ぶっころそうと思ってます」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
暮春とはいい、まだ夜夜中よるよなかは寒かった。暁方、師匠のところへ辿り着くころには一段とだった。向こうへ着くとまだ師匠夫婦は寝ていた。おしのどんとてようやく床をでたばかりのところだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
誰がこんな夜夜中よるよなか、よっぽどでなくて来るもんかね。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうも、何だ、夜夜中よるよなか、」
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いくら芸妓げいしゃだって、お前さん、酔興で夜夜中よるよなか、こんなところに転がってる芸妓があるもんですか、これは言うに言われない切ないいりわけがあってのことよ、察して頂戴な」
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
両人が仲はうるしの如くにかわの如くになりまして新三郎もうつゝを抜かして居りましたが、こゝに萩原の孫店まごだなに住む伴藏というものが、聞いていると、毎晩萩原のうちにて夜夜中よるよなか女の話声はなしごえがするゆえ
國「本当にまアあきれますよ、夜夜中よるよなか奥向おくむきの庭口へ這入はいり込んで済みますかえ」
運上所から夜夜中よるよなか、こっそりと大八車へ銀貨を山ほど積んで幾台というもの、ミニストルへ引きこんで、只納めをして来た有様なんて、見ない人は知らないが、見た人は涙をこぼしてますぜ。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私はお前さん故で斯様こんなに馴れない旅をして、峠を越したり、夜夜中よるよなか歩いて怖い思いをするのはお前さん故だよ、お前さんも元は榊原様の藩中で、水司又市と云う立派な侍では有りませんか
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)