夜叉王やしゃおう)” の例文
そういって、丸彦はむちを捨て、両手を広げてつっ立ちました。夜叉王やしゃおうも、こしの大きな刀をそこにおき、両手をひろげてつっ立ちました。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
中軍の勝頼は、夜叉王やしゃおうのように怒号していた。そして、万一に備えておいた予備隊まで、ことごとく前面へ押し出したのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急いで二階へあがってうかがうと、棚一ぱいに飾ってある人形はみな無難であるらしかったが、ただ一つ博多人形の夜叉王やしゃおうがうつ向きに倒れて
火に追われて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
年来としごろになりければ平塚の宿に夜叉王やしゃおうといふ傾城けいせいのもとへ通ひて女子一人設けたり寅の年の寅の月の寅の日に生まれければその名を三虎御前とぞ呼ばれける。
岡本綺堂先生は、不滅の傑作『修禅寺物語』の中で、夜叉王やしゃおうだけは創作した人物だと、はっきり、ことわってあるけれど、夜叉王屋敷の跡が、今では名所の一つになっている。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
ただ一つ博多人形の夜叉王やしゃおうがうつ向きに倒れて、その首がいたましく砕けて落ちているのがわたしの心を寂しくさせた。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
顔長の長彦は、夜叉王やしゃおうがためていたお金を、貧しい人たちにくばってやりました。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
第一に、主人公の夜叉王やしゃおうという人物からして作者が勝手に作り設けたのです。
ところが、夜叉王やしゃおうは、ゆっくりしておられないことになりました。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
面作師おもてつくりし 夜叉王やしゃおう
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)