塩断しほだち)” の例文
旧字:鹽斷
入選した画家ゑかきの苦心談を読んでみると、大抵影に忠実な細君が居て、塩断しほだち茶断ちやだちをしたり、神様に百日の願を掛けたりしてゐる。
雅さんがああ云ふ災難におあひなので、それが為に縁を切るつもりなら、私は、雅さん、……一年が間……塩断しほだちなんぞ為はしませんわ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
神を念じて穀断ごくだち塩断しほだちしてゐたやうな父は、すぐさまスペクトラの実験のにおちようはずはないのである。腑に落ちるなどとふより反撥はんぱつしたといつた方がいいかも知れない。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
父はその時から命のをはるまで納豆を食はずにしまつただらうと僕はおもふ。父は食べものの精進しやうじんもした。しかしさういふ普通の精進の魚肉ぎよにくを食はぬほかに穀断ごくだち塩断しほだちなどもした。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
祖父以来進歩党時代からの国会議員に力※ちからこぶいれて、㝫応りゆうおう和尚から草稿をかいてもらつて政談演説をしたり、剣術に凝り、植木に凝り、和讃に凝り、念仏に凝り、また穀断ごくだち塩断しほだちなどをもした。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)