塩断しおだち)” の例文
旧字:鹽斷
万作夫婦は朝夕涙に暮れて、茶断ちゃだち塩断しおだちして、いつもお光が腰かけた柳の根株にしめなわかけて筑波さまあらぶる神さまに願をかけても、一向に帰って来ぬ。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
芸者その朋輩ほうばい丸髷まるまげふを見ればわたしもどうぞ一度はと茶断ちゃだち塩断しおだち神かけて念ずるが多し。芸者も女なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
塩断しおだちもしてるようだ。一昨日おとといあたりから飯も食べないが、一体どういう了簡りょうけんじゃ。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの……それでお医者様が手放したもんですから、照吉さんが一七日いちしちにち塩断しおだちして……最初はじめッからですもの、断つものも外に無いの。そして願掛けをしたんですって。どこかねえ、谷中やなかの方です。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
茶断ちゃだち塩断しおだちまでしてくれるのに、おれはなぜ早く死なんのかな。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
魚断うおだち菜断さいだち穀断こくだちと、茶断ちゃだち塩断しおだち……こうなりゃ鯱立しゃっちょこだちだ。)
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)