塗箪笥ぬりだんす)” の例文
きのうも今日も、お米は陰気な一間ひとま塗箪笥ぬりだんすりかかって、ものにかれたような、祈るような、泣きたいようなひとみをジイとっていた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
壁に接して塗箪笥ぬりだんすだとか長持ながもちだとか大小様々の道具をれた木箱だとかが、ゴチャゴチャと積み並べてあるらしく、うるしや金具があちこちに薄ぼんやりと光って見えた。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
おりんは鳥籠をほうり出して、奥の塗箪笥ぬりだんすから月江の帯や衣類を乱ればこにもいれずにかかえて来ました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同時に、少し生気を取りもどして、塗箪笥ぬりだんすの小ひきだしから、土蔵のかぎを出し
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新しい塗箪笥ぬりだんすもある。茶棚もすわっていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)