城寨じょうさい)” の例文
しかるに、鎮台ちんだい城寨じょうさいを一歩入ってみると、この日、なんとなく営庭から庁閣にいたるまでが物々しい空気である。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近づけば、それは宋江そうこう、呉用、公孫勝こうそんしょうらの出迎えであった。さらに二の木戸、三の木戸と、高く進むほど人数は厚くなり城寨じょうさいの構造は密層みっそうをかさねている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城寨じょうさいの門の内で、やがて、たたたっと足音が聞えた。幾人かの城兵が坂の上から駈け戻って来たものらしい。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明日、それがしが、わざと曹操の城寨じょうさいを訪ね、過日のように、陣外で曹操と談笑に時を過しますから、あなたは附近に隠れて、不意に、曹操を討ち止めて下さい。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うじは、菅原の系類で、遠祖は、春日神社の神職をしていたが——武家勃興ぼっこうの機運から、ここの城寨じょうさいって、弓矢をね、いつか豪族となって、源頼朝のが成った時
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それよりは、持場もちば持場の守りを怠るな。この城寨じょうさいはちょうど、洪水の濁流を、じっと防いでいる堤と同じだ。堤は蜿蜒えんえんと長いが、寸土でも一尺でも、崩れたがさいご全部の破滅だ。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふかく城寨じょうさいを閉じて、恐れ守ると見せて、その夜——夜半よなか頃、幸盛は、兵をふた手に分けて、曠野こうやへ駈け出し、一手は、風上から、火を放って、いちめんな枯野の草を焼きたてた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜来からの城寨じょうさいの混雑は、六日の明け方までつづいていた。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、そのまま、城寨じょうさいのうちにいることも許された。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)