地鳴じなり)” の例文
地鳴じなりごうとして、ぱっと一条ひとすじほのおを吐くと、峰の松が、さっとその中に映って、三丈ばかりの真黒まっくろつらが出た、真正面まっしょうめんへ、はた、と留まったように見えて、ふっと尾が消える。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おそろしく底から、ごうと地鳴じなりが聞えるような不安である。私だけであろうか。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
いつもよりはや洋燈ランプをと思う処へ、大音寺前の方からさかん曳込ひきこんで来る乗込客、今度は五六台、引続いて三台、四台、しばらくは引きも切らず、がッがッ、轟々ごうごうという音に、地鳴じなりまじえて
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)