まこと)” の例文
「英雄、医卜いぼくニ隠ルまことニ故有リ矣。医卜いぼくトハ素封無キ者ノ素封也。王侯ニ任ゼズ、自如トシテ以テ意ヲ行フベシ……エヘン——」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
堅田の祐菴は水の味を知るに於てくはし。琵琶湖の水、甲処に於て汲む者と乙処に於て汲む者とを弁じてあやまらざりしといふ。茶博士たるもの、まことに是の如くなるべき也。
(新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
燈檠とうけいを呼び、雪中松柏を高吟し、男児死すのみを激誦し、その家人を驚かし、その四隣をおそれしめたる、子爵品川弥次郎の徒をして、回想せしめば、まこと今昔こんじゃくの感に堪えざるものあらん。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
真個しんこのいわゆる鎖国家主戦家は、まことに僅少にして、その僅少の人数すら歳月と共に、知識と共に、実際の閲歴と共に、いよいよ僅少となり、遂にその攘夷鎖国論者が幕府を倒したる暁においては
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)