団欒まどゐ)” の例文
旧字:團欒
一日の障りなしに断へず楽しき団欒まどゐの室に白湯さゆの香を漲らせ、清閑の韻をひゞかせたる永き歴史を有するなり。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
この団欒まどゐの中に彼の如く色白く、身奇麗に、しかも美々びびしくよそほひたるはあらざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
兄の方は別に精進しやうじん料理なので、この晩餐の団欒まどゐには加はらなかつた。嬉しさうに、時々顔を出した。今度私が来た目的の半ばは、一層寂しくなつたこの兄を見舞ふことにもあつた。
町の踊り場 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
あかしせよ かの一ときの団欒まどゐゆめに非ずと。
中の間なる団欒まどゐ柱側はしらわきに座を占めて、おもげにいただける夜会結やかいむすび淡紫うすむらさきのリボンかざりして、小豆鼠あづきねずみ縮緬ちりめんの羽織を着たるが、人の打騒ぐを興あるやうに涼き目をみはりて、みづからしとやかに引繕ひきつくろへる娘あり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
世のつねならぬかの団欒まどゐを。
始め二つに輪作りし人数にんずはこの時合併していつおほいなる団欒まどゐに成されたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)