嚥下えんげ)” の例文
主人公がまず、病母に毒を嚥下えんげさせ、次いで自ら服毒したものと見られたが、死後二昼夜を経過していると推定された。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
彼等かれらたゞ多量たりやう嚥下えんげすることによつて精力せいりよく恢復くわいふく滿足まんぞくするのである。うしうまでも地上ちじやうやはらかなくさ繁茂はんもする季節きせつれば自然しぜん乾草ほしぐさわらいとふやうになる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
鱷はその儘彼の人物を口内に置く時は窒息すべきを以て、自営上止むを得ず彼の人物を嚥下えんげせり。
一服の清涼剤でも嚥下えんげするような坊さんに出遇うと、その日一日気分が清清して、俗人に接し、俗事を処するに、さっぱりとやって行ける。禅僧には学問もあってよい、弁才も亦可なりである。
この薬には死の苦しみもなければ、屍体に何の徴候をも残しはしませんが、誤って微量を嚥下えんげしましても、もはやいかなる名医でも、さじを投げるよりほかはないとされているものでした。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)