喫煙室きつえんしつ)” の例文
ひだりれたところに応接室おうせつしつ喫煙室きつえんしつかといふやうな部屋へやまどすこしあいてゐて人影ひとかげしてゐたが、そこをぎると玄関げんかんがあつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
いまはカコ技師も、はればれとした顔つきになって、喫煙室きつえんしつへ来て、煙草をうまそうに吸いながら、だれかれと話しあっている。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
次の晩、ぼくが、二等船室から喫煙室きつえんしつのほうに、階段をのぼって行くと、上り口の右側の部屋から、溌剌はつらつとしたピアノの音が、流れてきます。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
保吉やすきちは二階の食堂を出た。文官教官は午飯ひるめしのちはたいてい隣の喫煙室きつえんしつへはいる。彼は今日はそこへ行かずに、庭へ出る階段をくだることにした。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
沢村さんに占領せんりょうされているときは、喫煙室きつえんしつで、母へ手紙を書いたりしていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
暗い海をしばらくみてから、に帰ろうと、喫煙室きつえんしつのなかを通り抜けていると、一隅いちぐうで沢村、森、松山、東海さん達が、麻雀マアジャンをやっていましたが、「おい、おい」と河村さんが、ぼくを呼びとめます。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)