啓示けいじ)” の例文
セルギウスはめた。そして夢に見た事を神の啓示けいじだと思つた。そして気分が晴やかになつて、夢の中の教の通りにしようと決心することが出来た。
次には神の啓示けいじをもって、我々の経験よりもさらに遥かに有力なるものと信じて、これに基づいて遠い以前の記録なき社会を解釈し、始祖は空をみ海波を飛び越えて
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
語りつつ藤房は、その夢ものがたりが、自分のくちから出るのでなく、自分も聴かされているてん啓示けいじみたいな気がされていた。そして折々、感動のきわまりに涙をたれた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私も又実は仏教徒である。クリスト教国に生れて仏教を信ずる所以ゆえんはどうしても仏教が深遠だからである。自分は阿弥陀仏あみだぶつ化身けしん親鸞僧正しんらんそうじょうによって啓示けいじされたる本願寺派の信徒である。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「獄中に藤の花が咲くなどということは、あり得ないことだ。漢土の話にもこの日本でも聞いた例しがない。……死ぬなよ。待てば咲くぞ、という天の啓示けいじ。そうだ天の啓示だ」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火悪戯と人のる若い者の精神が、決して暴でなく不逞ふていでもなく、必然、このままではいない時勢の先に立って、よくてん啓示けいじをつかんでいる男児たちであることを知っていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)