唇頭くちびる)” の例文
余は実に驚きたれどお合点の行かぬ所あり横鎗を入んためまさ唇頭くちびるを動さんとするに目科も余と同じ想いの如く余よりも先に口を開き
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
何事ぞ、眞の武士の唇頭くちびるぼすもいまはしき一女子の色に迷うて、可惜あたら月日つきひ夢現ゆめうつゝの境にすごさんとは。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
彼は縁も由縁ゆかりも無き蝙蝠こうもり傘屋に入らんとす「君それは門違いで無いか」と殆ど余の唇頭くちびるまでいでたれどこゝが目科のいましめたる主意ならんと思い返して無言のまゝに従い入るに
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)