和女おまえ)” の例文
うなぎどんぶりなら三つ以上五つ位食べなければ承知せん位の大食家だ。あの男に和女おまえの拵えた豚料理を御馳走したらさぞよろこんで食べるだろう。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
病人な養生ようじょうが仕事、なあ浪どん。和女おまえは武男が事ちゅうと、何もかも忘れッちまいなはる。いけません。早う養生してな——
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
と今度はなぜか、箸を着けずに弁当をしまいかけて、……親方の手前もある、客に電報が来た様子では、また和女おまえの手も要るだろう、余り遅くならないうちにと、ねんごろに言うと
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もしも小山さんが自分の責任をのがれるような工風くふうをするとかあるいは和女おまえたのんで家へ金を借りに来るような意気地いくじのない人であったら
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
伯父「ウフフ、あの姿で東京へ連れて行った日には」伯母「ナニ」伯父「マアサ、東京へ連れて行ったら和女おまえにも分るだろう」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ホントにお料理ばかりでない、私の家にいれば何でもためになる事が覚えられて和女おまえの一生にどんな得になるか知れません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
竹や、和女おまえも料理法を習うからには略式ばかりで物足りない、念のために本式のブランライスプデンを教えてげましょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
和女おまえなぞは決してそういううれいもあるまいけれども自分の心で人物の良否りょうひや事の善悪を判断し得ると思うと大きな間違いだ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
兄の中川その様子をあやしみ「お登和や、和女おまえは今日大層顔の色が悪いがどうかしたかえ」と妹を案じる兄の真情
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
和女おまえの大原さんに対する心は決して恋愛的の劣情ではないけれどももしこの事が叶わなければ一生ひとりで暮らしますとでも言ったらやっぱり恋愛的の劣情におちいる。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
余所よそしきりに晩餐ごぜんを食べてけと勧められたけれども和女おまえのお料理が出来ているだろうと思ってにも食べずに戻って来た。そんなによく出来たら誰かを呼んで御馳走したいの。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)