まわり)” の例文
兄はそう言って、子供のためのグラウンドのような場所のまわりにある、木陰のベンチに腰をおろして、たばこをふかしはじめた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
壁の一点を中心にしてそのまわりへ尺平方ほどの円を描きながら、彼女はいっそう明晰めいせきな口調で妙な繰り言をくどくどと並べ出した。聞いて行くうちに伝二郎は二度びっくりした。
さッとまわりをとりまいた黒煙。
太平洋雷撃戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
お島はベンチに腰かけて、だるい時のたつのを待っていた。庭の運動場のまわりうわった桜の葉が、もう大半きばみ枯れて、秋らしい雲が遠くの空に動いていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お島はかなめけやきの木とで、二重になっている外囲そとがこいまわりを、其方そっちこっち廻ってみたが、何のこともなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)