)” の例文
荷物はまとめてえきに出してしまひ、まだ明るいけれど夕飯も風もすましてしまつた。これから二時間のあいだ、もう何もすることがない。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
あだかの字の形とでも言おうか、その中央なかの棒が廊下ともつかず座敷ともつかぬ、細長い部屋になっていて、妙にるく陰気で暗いところだった。
女の膝 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
の楽を律へ移すのに「喜春楽きしゅんらく」が奏されて、兵部卿ひょうぶきょうの宮は「青柳あおやぎ」を二度繰り返してお歌いになった。それには源氏も声を添えた。夜が明け放れた。
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、兄上は中風でれつも廻らない有様だ、許すも許さぬもない」