吹返ふきかえ)” の例文
これが最も忠一を驚かしたのであったが、冬子は単に気を失っただけのことで、身には別に負傷の痕も無かったので、手当てあてのちに息を吹返ふきかえした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
前には唐物屋とうぶつやと云ったが今では洋物屋と申しますそうでござりやすが、屹度きっと当るという人が有りますから、此処こゝ一息ひといき吹返ふきかえさなければなんねいと思って、田地でんじからそれにまア御案内の古くはなったが
わけても、伝右衛門が眼をひかれたのは、一隅に置かれてあった十七絃の唐琴からことと小鼓であった。明珍みょうちん作りの南蛮鉄に銀の吹返ふきかえしのあるかぶとは、そのわきの具足櫃ぐそくびつのうえに常住の宝物のごとくすわっていた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)