吸子きびしょ)” の例文
いや、しょうのものの膝栗毛ひざくりげで、いささか気分なるものをただよわせ過ぎた形がある。が、此処ここで早速頬張ほおばって、吸子きびしょ手酌てじゃくったところは、我ながら頼母たのもしい。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ると、朱塗の盆に、吸子きびしょ、茶碗を添えて持っている。黒繻子くろじゅす引掛帯ひっかけおびで、浅葱あさぎの襟のその様子が何とも言えねえ。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ドンと落ちると、盆は、ハッと持直そうとする手に引かれて、俊吉の分もさらった茶碗が対。吸子きびしょも共に発奮はずみを打ってお染は肩から胸、両膝かけて、ざっと、ありたけの茶を浴びたのである。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
茶を充満いっぱい吸子きびしょが一所に乗っていた。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)