否定ひてい)” の例文
「そんなことはない。」わたしわらひながら否定ひていした。するとまたS、H訂正ていせいでもするやうに、「いや、わたしほうが……。」とこたへた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
と善良な夫は反問の言外に明らかにそんなことはせずとよいと否定ひていしてしまった。是非ぜひも無い、簡素かんそ晩食ばんしょく平常いつもの通りにまされたが、主人の様子は平常いつもの通りでは無かった。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
が、番頭の顏にも、小僧の顏にも、清松の言葉に對する否定ひていの色は少しもありません。
批評家ひひやうかがそれをうますぎると云つた爲めに、氏は巧すぎるといふ事が何故なぜいけないのだと云つたやうな駁論ばくろんを書いて居られましたが、たしかに巧すぎるといふ事丈けは否定ひてい出來ないと思ひます。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
と正三君は力強く否定ひていした。照彦様が目を見はって
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
伊那丸は心のそこで、否定ひていした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
否定ひていして、正三君は外へ出てしまった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)