吉利支丹キリシタン)” の例文
ただし、室町末期に国語に入った西洋語(主として吉利支丹キリシタン宗門の名目)にはパ行を語頭にも用いたらしい。
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
従来は少しく思うところあって、正雪、丸橋、吉利支丹キリシタンの徒、郷のおさだの里の長だの、いろいろの者を
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
当時、異国の風物が珍らしいのと、乱世の為め、国民は不安にをのゝいてゐたので、神の愛を説くキリスト教は、吉利支丹キリシタン宗或ひは天主教と云はれて、非常な勢ひで信者を獲得した。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
わが吉利支丹キリシタンの徒の事蹟をせるを以て、所謂いはゆる「南蛮もの」を蔵すること多からんと思ふ人々もなきにあらざれども、われは数冊の古書のほかに一体のマリア観音くわんおんを蔵するに過ぎず。
わが家の古玩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
大いに怒って直ちにその者を斬罪ざんざいに申付けたが、その後ち思案して、吉利支丹キリシタンの目明し右衛門作という油絵を上手に画く者に命じて、火を盗み「たばこ」を呑んで畳を焼いたところと
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
阿蘭陀オランダ仕込みの西洋手品! 世間の奴らはこんなように云う。もっと馬鹿な奴は吉利支丹キリシタンだと云う。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
慶長元年には、イスパニヤが領土を狙つてゐるとの疑ひから、吉利支丹キリシタンを禁じ、宣教師や信者を殺したが、家康は、又、初期の間、貿易の利益を得る為めに、吉利支丹キリシタンを黙認した。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
家来の雉六きじろくは冠者を背負って、難を遁がれて逃亡したが、その後九州西国の方へ渡り、養育をしているうちに、冠者は次第に成長し、紅毛人とも親しくなり、吉利支丹キリシタンの秘法を修得し
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もっともの言葉であったので秀吉はその乞いを許したが、その後そのマニラの使者の中の三人の宣教師が、人質として日本にとどまったのは、その実、吉利支丹キリシタン布教のためであり、布教の真の目的は
「天草一揆! 吉利支丹キリシタンの奴ばら! さいなみに来おる! 許してくれ!」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吉利支丹キリシタンには非ず。有司放任す。信者数多あまたあり、いずれも謙遜
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
つづいて連想されたのは、ご禁制吉利支丹キリシタンのことであった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それじゃ貴様、吉利支丹キリシタンだな!」
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)