合目あわせめ)” の例文
石畳いしだたみ穿下ほりおろした合目あわせめには、このあたりに産する何とかいうかに甲良こうらが黄色で、足の赤い、小さなのがかずかぎりなくむらがって動いて居る。
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神道の御幣ごへいは「神棒」から出来たものとされている。この舟はまるで指物細工みたいに出来ていた。合目あわせめは実に完全で、私が注意深く写生せざるを得ぬ程清潔で奇麗であった。
髪の毛は段々と脱落ぬけおち、地体じたいが黒いはだの色は蒼褪あおざめて黄味さえ帯び、顔の腫脹むくみに皮が釣れて耳のうしろ罅裂えみわれ、そこにうじうごめき、あし水腫みずばれ脹上はれあがり、脚絆の合目あわせめからぶよぶよの肉が大きく食出はみだ
薄い光線が屋根板の合目あわせめかられて、かすかに樟に映ったが、巨大なるこの材木は唯単ただたん三尺角さんじゃくかくのみのものではなかった。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
縁側でも呻唸うなり出す——数百すひゃくの虫が一斉いっときに離座敷を引包んだようでしょう、……これで、どさりと音でもすると、天井から血みどろの片腕が落ちるか、ひしゃげた胴腹が、畳の合目あわせめから溢出はみだそう。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)