号哭ごうこく)” の例文
一種の痴呆患者か何ぞのようにボロボロと涙を流して「マリイマリイ」と号哭ごうこくするばかりで、何が何だかサッパリ要領を得ない。
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
三つの蛟は又あらわれて母の墓所に赴き、幾日も号哭ごうこくして去った。そのく声はいぬのようであった。
人民がことごとく服を白くしているとあれば天子のに相違ない。李陵は武帝ぶていほうじたのを知った。北海のほとりいたってこのことを告げたとき、蘇武そぶは南に向かって号哭ごうこくした。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
諸軍号哭ごうこくの声やまず。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新品卸し立ての妻君を犠牲にして計劃した必死の事業が、ミスミス駄目になって行くのだから……号哭ごうこくあたわずとあるが道理もっとも千万……ついに思えらく、吾、一度天下のために倫常りんじょうを超ゆ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)