古文書こもんじよ)” の例文
尤も内田博士だつて、他人ひとが煙草をふかすのをまで嫌ふ筈はないが、研究室にはほかに掛替へのない大事な書物や古文書こもんじよやがどつさり備へてある。
一国の大寺なれば古文書こもんじよ宝物等も多し、その中に火車落くわしやおとし袈裟けさといふあり、香染かうそめあさと見ゆるにあとのこれり。
古文書こもんじよのなかに見いでし
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一国の大寺なれば古文書こもんじよ宝物等も多し、その中に火車落くわしやおとし袈裟けさといふあり、香染かうそめあさと見ゆるにあとのこれり。
実際上品な声で、古文書こもんじよの入つた桐の箱が笑ひでもしたら、あんな声をするだらうと思はれた。
高野山といへば、古美術や古文書こもんじよなどの多く残つてゐるので聞えた山だが、それに目星をつけて方々より狩出しに来るものが多いので、近頃はめつきり宝物ほうもつの数が少くなつた。
百樹もゝきいはく越遊して塩沢に在し時、牧之老人にともなはれて雲洞庵にいたり、(塩沢より一里ばかり)庵主あんしゆにも対話たいわなし、かの火車おとしの袈裟けさといふ物その外の宝物古文書こもんじよるゐをも一らんせり。
「いや、」と星野氏は皺くちやな古文書こもんじよで一杯に詰まつてゐる頭をつた。「別に病気といふではないが、一度読んだ書物ほんを御叮嚀にも二度も読みかへしてゐるやうですからな。」
百樹もゝきいはく越遊して塩沢に在し時、牧之老人にともなはれて雲洞庵にいたり、(塩沢より一里ばかり)庵主あんしゆにも対話たいわなし、かの火車おとしの袈裟けさといふ物その外の宝物古文書こもんじよるゐをも一らんせり。
かうして次ぎから次ぎへ渡つて、最後にそれが田中博士の手に廻された。博士は東大寺の古文書こもんじよでも覗く折のやうな、取つて置きの眼付をして新聞を見た。そして思はず吹出した。